このコーナーは、和の「技」と「伝統」を次の世代へ継承しようと手を携えた人びと、「わ」プロジェクトの方たちに、技のこと、伝統工芸の世界、産地でいま起きていること、新しい取り組みなどを、ブログ形式で伝えていただくコーナーです。「わ」プロジェクトのメンバーである結城紬の織元「龍田屋」藤貫さん、「縞屋」井上さん、大島紬の織元「田畑絹織物」児玉さんのリレーブログという形でお届けします。
現場からの報告 7回目
「縞屋」井上さんからの報告です。
後継者が減少していく理由
(本場結城紬織元 縞屋・井上裕司)
結城紬の産地にとって、後継者不足は深刻な問題です。さらに職人さんの高齢化、着物需要の減少とさまざまな問題を抱え、結城紬の生産量は年々低迷しています。
この状況を脱却するために、国をはじめ、産地である茨城県・栃木県・結城市・小山市それぞれで後継者の育成を目的とした補助事業を行っています。事業にはいくつかあり、「地機織り研修」は、地機織りを習いたいと希望する人を募集し、職人が講師となって染色から製織までの作業を教えていくというもので、研修修了後は機屋への所属が条件になっています。遠方から若い方たちが機織りを習いに来てくれますが、仕事として続けている人は少ないのが現状です。
研修が終わると一人前の織り子として自立でき、一反織り上げれば織賃、つまり給料をもらうことができます。しかし、熟練の織り子さんに比べて新人の織り子さんは織るスピードが遅く、織るものにもよりますが、柄の入った反物を織り上げるには2、3ヵ月かかります。ということは、毎月決まった収入がないということです。そこで、多くの新人は生活費を稼ぐためにアルバイトをしますが、それを優先するようになり、結果、仕事を続けられず後継者が育たないのです。
それでも、現役の織り子さんたちは伝統工芸をまもるために、誇りをもって今日も結城紬を織っています。
![〈技と伝統〉現場からの報告 [書き手]「わ」プロジェクト](/tradition/img/title.jpg)
