ウンメイか? 間違いか? 出会ってしまったのは…
『春光乍洩』(邦題:ブエノスアイレス)●
王家衛(ウォン・カーウァイ)監督(1997年香港)
1995年、世の中的にも私的にも大変な年だった。王家衛の映画が巷で空前の大ヒットをかましているコトにまったく気付けず、乗り遅れてしまったのが悔しくて、とり急ぎ無視することにした。ある夜、テレビで『楽園の瑕』をうっかり見てしまい、ロン毛のレスリー(張國榮)に欲情してしまって事情が変わった。なに? このトキメキ? 続けて『恋する惑星』も見てしまったら、もう完敗。無視から溺愛に***想えば、『いますぐ抱きしめたい』と『欲望の翼』を見逃している時点で香港映画好き失格なんだけど、それはもう、間が悪かったとしか云えない。そして、『ブエノスアイレ』も既に日本公開済みで、翌年の二本立てのときにやっと王家衛の映画を映画館で見た。
こんなにも愛おしいと云う気持ちを全開にしてしまったのは初めてだったのかも知れない。そんな想いにさせられてしまうし、躰がとろとろに溶けてしまって映画の中に溶け込んでしまいそう。映画が終わっても全然立てないでいた(らしい)ら、傍らで女子が騒いでいる。隣に座っていた子が私の膝にジュースをぶっかけてしまい、懸命にあやまってくれていた(のに気付いてなかった! ごめん。)のでした。いやはや、完全にこの世にいなかった瞬間ね。なんちゅー映画に出会ってしまったんでしょう! ウンメイでも、間違いでも、もう絶対にずっと想っているし、愛し続けてる***
[1998年 松竹セントラル3(東京・銀座)にて]
