「レベル7」後の世界

 「直ちに健康に影響はない」でおなじみの福島原発だが、4月12日になってその事故評価がチェルノブイリと同等の「レベル7」であることが明らかにされた。そうした中でもいわゆる御用学者の類は「同じ7でも低い方の7」、「チェルノブイリは事故直後に約30人が死んだが、日本では死者がまだ出ていないので安全」などと、既に放射能で頭がおかしくなっているかの如き詭弁を弄している。狭い国土に半径100キロの「毒を流し続ける核の墓場」を抱えることになった日本はこれからどうなるのか、予想してみることにしよう。 

◆ガイガーカウンターが売れる
 一部報道によると、ガイガーカウンターが売り切れるほどの人気らしい。素人測定では精度に問題があるようだが、それでも政府や御用学者が垂れ流す「安全デマ」を信じる気にはなれないのである。国民は何よりも正確な線量を知りたいのであり、福島の野菜も魚も、心ないいじめに怯える、他地域へ移った被災者の子どもたちも、目の前でしっかり測ってやればいいのである。
 ガイガーカウンターは10万円前後するそうだが、そのうち大手家電メーカーが製造を開始し、ジャパネットのオヤジがキンキン声でテレビ通販を始めるのではないか。
 
◆ガン・白血病の増加
 「直ちに健康に影響はない」という台詞は、「救いようのない出鱈目」という意味で今年の流行語大賞になるのではないか。「直ちに」影響がなくたって、放射性物質が原因と思われるガン・白血病患者は今後急速に増加するだろう。
 それなりに人生の計画を立て、特に悪いこともせず家庭を守り仕事に精進してきたような人々が、ある日突然不治の病に冒されるのである。水俣病などでもご承知の通り、こうしたものは賠償を求めて裁判など起こしても、何十年かかるかわからない。水を飲んだだけ、野菜を食べただけ、外の空気を吸っただけで命を落とす可能性があるなんて、まったく何という世の中なのか。
 
◆東電幹部、政治家、御用学者へのテロが続発する
 そんなわけで、今後は東電関係者や政治家へのテロが続発することだろう。彼らはもしかすると「直ちに影響はない」と気楽に構えているかも知れないが、例えば家族を抱えた働き盛りの男性が急性白血病に罹ったとしたら、あるいは不妊治療の末、漸く授かった幼児が小児ガンになったとしたら、直接の原因が原発とは限らずとも、誰を恨むだろうか。ぶち殺してやろうと思うのは誰なのか、明白であろう。
 人をナメたような会見を繰り返した東電・保安院、政府、そして戦後日本の原子力政策を推進した自民党、読売新聞、御用学者たちは、これから特定不能の名もなき殺人者たちの陰に一生怯えることになるのではないか。人生の夢を断たれ、生存の危機に追いつめられた「普通の人々」が、どういう行動を取るのか。原発に関わった人々はナチの残党よろしく、海外逃亡することになるかも知れない。

◆有名スポーツ選手の急死
 これから有名スポーツ選手が急死するかも知れない。特に野外で長時間練習する種目の選手で、練習熱心であればあるほどそのリスクは高くなることだろう。例えば五輪などの世界的な大会で活躍が期待される選手が、ある日突然体調不良を訴えて入院する。これが一人ならば特殊な例と言えるだろうが、連続して発生すれば国民に大きな不安を与えることは間違いない。
 
◆室内スポーツ、フィットネスクラブが流行する
 そこで、野外スポーツは衰退するだろう。その代わり、室内で運動するスポーツが流行ることになる。海で泳ぐより室内プール、外でのジョギングよりもトレーニングマシン。フィットネスクラブのようなものがブームになるのではないか。
 
◆宗教ブームが来る
 生命の危機が現実のものとなり、人の世のはかなさを知る時に求められるのは、やはり宗教だろう。だからといって豊かな時代のように、子供騙しのような荒唐無稽な超能力であるとか、曖昧な霊言預言の新興宗教ではなく、既存の仏教やキリスト教などに信者が集まるのではないか。彼らにとってはまさに「今がチャンス」である。
 
◆「対日グローバル・エンガチョ」がはじまる
 GDPで日本を抜き、拡大を続ける中国経済に便乗して、日本の高級米やマグロなどを金持ち中国人に売ろう、観光客にカネを使ってもらおうなんて動きがあったものだが、中国はこの原発事故の結果、日本全域からの食品や農水産物の輸入を停止した。EUや韓国も規制を実施しているという。日本を訪れる外国人観光客の姿も消えてしまった。「低濃度のたまり水」という名の放射能汚染水を公海上に平気で垂れ流し、国際社会に曖昧な報告をしているような国は信用できないのだろう。
 かつて「毒入りギョーザ」事件では、中国の食品工場の杜撰な衛生管理をボロクソにけなしていた日本社会だが、今度はこっちがやられる立場になってしまった。韓国などでは入国審査の際、日本人と見るや全身にガイガーカウンターを当てられるそうで、まるで伝染病の保菌者か何かのような扱いである。そのうち海外で「日本から来た」と言えば、顔をしかめて口元を押さえ「あっちへ行け」と追い払われるかも知れない。
 福島から千葉へ来た被災者の小学生に対し、地元の子どもが「放射能がうつる」といじめた、という事件があったばかりだが、現在、我が国は世界的規模で同じ目に遭っているのだ。それは無知無理解な国際社会が駄目と言うよりも、他国への迷惑を顧みず、内向きに出鱈目を言って誤魔化していればいいという、日本の官僚根性が駄目なのである。
 しかし放射性物質入りの汚染水を公海に流すなんて行為を、もし中国がやっていたら、日本政府やマスコミはどういう対応をしていただろうか。中国の野菜を輸入しただろうか。これは輸入を停止されて当然だろう。
 この混乱は、政府や東電、原子力保安院やマスコミといったデマ装置がいくらアナウンスしたところで終息するのは難しいのではないか。福島原発を完全に廃炉にして封じ込めるまでは、日本は「世界の鼻つまみ者」扱いを受け続けることになるだろう。これが経済だけではなく、文化にまで大きな影響を与えることは間違いない。停滞はひと時代続くことを覚悟すべきだ。

2011年4月19日 記

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[著者プロフィール]

渡辺開拓

ライター。札幌出身。新聞記者などを経て、北海道のローカル誌で執筆中。ジャンルは政治経済、地方自治から音楽、海外情報、バカニュースまで幅広い。趣味は古書収集、街歩き。