わが子への授乳姿を写真に残したい――。
東京・新小岩にあるサークル「母の会」では、こんなお母さんたちの気持ちに応える催しを不定期で開催しています。
企画したのは、「母の会」主宰である山中真理子さん。いまから4年前、息子が卒乳を迎える直前、山中さんは「二度とないこの子への授乳姿や、おっぱいを吸うわが子のこの上なく可愛い顔を写真で残しておきたい」と考えました。自分で撮影しようと精一杯手を伸ばしシャッターを切りましたが、顔が切れたり、ピンボケしたり、納得のいく写真は1枚も撮れませんでした。
「それに、授乳姿は素人が撮るとヘンに艶めかしくなっちゃうんですよね(笑)」と山中さん。
その後、サークル「母の会」を立ち上げた山中さんは、あのときの自分と同じ気持ちをもっているお母さんはきっと多いはずと、「授乳フォト撮影会」をはじめました。
子どもにおっぱいをあげている姿をプロのカメラマンに撮ってもらえるという、またとない機会。開始以来、「母の会」が開催する会の中でも指折りの人気イベントになっています。
「子どもの写真を見返すと、子どもだけや夫と子どもの写真が多くて、自分と子どもの写真って意外と少ないんです。お母さんは、家族の中でカメラマン役になることが多いから。撮ってもらう機会があっても、化粧をしていなかったり、髪の毛を整えていなかったり、自分にOKを出すタイミングがなかなかない(笑)。だから、撮影会にはみんなおしゃれをしてやってきます。きれいな自分が子どもと一緒にいる姿をプロに撮ってもらえるところも人気の理由だと思います」と山中さん。
■お母さんが楽しむ場をつくりたい
「母の会」では、授乳フォト撮影会をはじめとするさまざまなイベントを催しています。
「授乳フォト撮影会もそうですけど、『母の会』は、育児中のお母さんたちがやりたい、やってみたいと思っていることをする場にしたいと考え活動しています。子どもが楽しむところは探せばけっこうありますが、育児中のお母さんが楽しむ場って案外少ないですから。産後のお母さんのためのバランスボールエクササイズや赤ちゃんを抱っこしながら体を動かすベビーダンス、アロママッサージやネイルケアを楽しむ会など、親子や子ども向けではなく、あくまで“お母さん”のための催しを中心に行っています」
山中さんの子どもはいま8歳と6歳。子どもが小さかった頃、育児をしながら自分が楽しむ場所はまわりを見てもなかったそうです。しかし、探すうちにバランスボールエクササイズ教室など、お母さんのための教室がいくつかあることに気づきました。そんな教室に参加するうちに、「こういう場を自分でつくりたい!」と思った山中さんは、2007年にサークル「母の会」を設立します。下の子の育児が一段落したころのことです。ブログで情報を発信したり、手づくりの情報誌『ほっとはは通信』を近所の子育て支援室に置いてもらうなどして地道に告知をした結果、3年経ったいま「母の会」の会員数は260名に上るまでになりました。
■人や社会とつながるきっかけに
「母の会」は育児中のお母さんが楽しむことはもちろん、彼女たちが自分の力を発揮する場にしたいと山中さん。だから、特技や資格をもっている会員が講師を務める教室など、お母さんの力を生かす催しを企画することにも力を入れています。
「育児中は家にいることが多く、子どもと母親だけの世界になりがちです。私自身、はじめての育児では精神的にも体力的にもしんどくて、『私なにやってるんだろう……』と自分の存在が見えなくなって涙があふれてきたことがあります」
自分がそういう経験をしてきたからこそ、いま育児をしているお母さんには他のお母さんや社会とつながってほしい。人の役に立つことで自分の存在価値を確かめる機会をもってほしい。山中さんはそう考えながら「母の会」を運営しています。
山中真理子(やまなか・まりこ)さん
1978年生まれ、東京都出身。サークル「母の会」主宰。RTA(ロイヤルセラピスト協会)認定講師。ロイヤルベビーマッサージセラピスト。ファーストサイン講師。日本ベビーダンス協会認定インストラクター。Gボール協会員。「母の会」の活動や子育てについて書いているブログ『集まれ母たち-葛飾区・江戸川・千葉の妊婦子連れでおでかけ・習い事』は一日1000アクセスを超える人気。
