■助産師さんたちが開く「楽しい子育て・孫育て講座」

1月7日のお昼過ぎ、東京都台東区にある日本助産師会館に、赤ちゃん連れのお母さんや妊婦さんが集まっていました。日本助産師会が毎月第1金曜日に開催している「楽しい子育て・孫育て講座」の参加者です。この日はお母さんと妊婦さんだけでしたが、祖父母が一緒に参加することもあるそうです。

おもちゃの選び方

全2回の講座の1回目にあたるこの日は、前半に「育児のちがい今・昔、子どもの発達と楽しい育児、しつけの大切さ」を助産師の岡本喜代子さんが話し、後半は遊び研究家の棒田明子さんが「おもちゃの選び方」をアドバイスしました。2月4日に開かれる2回目の講座は「母乳育児、卒乳、離乳食の進め方、タッチケア」と「絵本の選び方」がテーマです。

■親の立場と祖父母の立場

子育ても孫育ても楽しんでもらいたいという願いから、助産師会が東京で講座をはじめたのは2008年のこと。共働き家庭が増えていることもあって、実際に祖父母が孫育てをするケースが多くなっており、いまでは各地の支部でも講座を開いています。

「いま子育て中の夫婦は、少子化・核家族化した社会で大人になり、わが子を産むまで乳幼児と接する機会がほとんどなかったという人が多い。手探りで子育てをしている父母が頼りやすいのは自分の親、つまり子どもの祖父母です」と助産師の岡本さん。

しかし、子育ての方法や考え方の違いから、父母と祖父母の間に対立が起こることも少なくありません。とくに母親は自分の親を頼りにすることが多く、実の親子ということでどちらも遠慮がないためにトラブルが起きやすいと岡本さんは言います。

「だから、お母さんにはまず『親御さんが面倒を見てくれるのは当たり前じゃないですよ』、祖父母の方には『子育ての中心は母親と父親。娘さん、息子さんをサポーターとして見守ってあげてください』と伝えています」

どんな立場で子どもを育てていくかということを双方が考えることによって、父母は「子どもをちょっと見ていてもらうだけでもありがたい」と思うようになるし、祖父母は「あんまりでしゃばらないようにしよう」と思う。そんなふうに、お互いの立場が考えられるようになれば自然に関係は良くなっていく。それが、楽しく子育て・孫育てをするひとつのポイントだそうです。

■自信をもって孫育てを

2008年からスタートした講座には2010年までで延べ394人が通い、そのうち祖父母は120人に上ります。自分の子どもをちゃんと育て上げ、いわば子育てのベテランとも思える祖父母がなぜ講座を必要と感じるのでしょう。

岡本喜代子さん

「いま祖父母となっている人たちは団塊の世代です。その親たちは共働きをしながら戦後を必死に生き抜いてきたので、子どもをかまう余裕がなかった人が多いのではないかと思います。そうやって育てられた団塊世代が親になったとき、子育てに迷い、戸惑ったのではないでしょうか。自信をもてないままに子育てが終わって祖父母になり、今度は孫の面倒を頼まれる。でも、子育てのときと同じように自信が持てず、どう育てていいのかわからない。そんな気持ちでいる祖父母はたくさんいると思います」

祖父母たちに自信をもって孫育てをしてほしい、そのために講座を利用してほしいと岡本さん。実際、講座を受けた祖父母からは、「自分が考えているように育てていい。孫育てといっても難しく考えなくていいんですね」「いまもむかしも子どもの心の育て方は一緒なんだと知り安心しました」といった感想が寄せられるそうです。

「祖父母に子どもを預けることで母親はリフレッシュする機会が増えて心にゆとりが生まれるし、親に感謝の気持ちも芽生える。一方の祖父母は孫の面倒をみることで孫から元気をもらえる。孫は祖父母と一緒にいることで、親以外の人とのかかわりによって社会性が身につく。子育て・孫育ては、三世代にとっていいことずくめなんです。みんなで子育て・孫育てを楽しんでください」

岡本喜代子(おかもと・きよこ)さん

岡本喜代子(おかもと・きよこ)さん

1948年生まれ、京都府出身。助産師。現在、(社)日本助産師会・専務理事。2004年6月「おたふく助産院」共同開業、同年、8月NPO法人CFFC(楽しい子育てを支援するNPO)理事長就任、現在は副理事長。著書に、『弁証法的看護論』(助産婦教育システム研究会)など。

おまごBOOK

●開催日時:毎月第1金曜日、午後1時30分~3時
※奇数月と偶数月の2回で1クールの内容。1回のみの参加も可能。
●対象:お父さん、お母さん(妊婦含む)、おじいちゃん、おばあちゃん
●参加費:1家族につき1回 1,000円
●問い合わせ先:社団法人 日本助産師会(03-3866-3054)